要約(先に結論)
- 就寝前のルーティンを整えると入眠がスムーズになり、睡眠の質が安定する。
- 基本は「光・食事・行動・環境」の4つを整えること。
- 具体的には「寝る1時間前にスマホやPCをやめる」「ぬるめのお風呂に浸かる」「軽いストレッチ」などが効果的。
- 習慣化のコツは「毎晩同じ順番で行う」こと。
なぜ就寝前ルーティンが重要なのか
- 睡眠は「体内時計(サーカディアンリズム)」と「睡眠圧(覚醒時間の長さ)」で調整される。
- 就寝前に不規則な行動や強い刺激を入れると、このリズムが乱れて入眠しづらくなる。
- 一方、毎晩同じ行動を繰り返すことで「体が“眠る合図”を学習」し、自然に眠くなる。
実践しやすい就寝前ルーティン例
1. 光をコントロールする
- 寝る1時間前からスマホ・PCをオフ。
- ブルーライトはメラトニン分泌を抑制 → 入眠を妨げる (Chang et al., 2015, PNAS)。
- 間接照明や暖色系ライトに切り替える。
2. 体温を調整する
- 就寝90分前にぬるめ(38〜40℃)のお風呂。
- 入浴後は深部体温が下がる → 眠気が自然に訪れる。
- シャワーだけの場合も「首・背中を温める」と効果あり。
3. リラックス行動を取り入れる
- 軽いストレッチやヨガ(5分程度)
- 深呼吸、瞑想(マインドフルネス)
- ハーブティー(カモミール、ルイボスなどカフェインレス)
- 好きな本を紙媒体で読む
4. 寝室環境を整える
- 室温は18〜22℃が理想、湿度40〜60%
- 遮光カーテンやアイマスクで光を遮断
- 耳栓やホワイトノイズで静寂を作る
- 寝具(枕・マットレス)の高さや硬さを見直す
ルーティン化するコツ
- 「毎晩同じ順番」で行う(例:入浴→ストレッチ→読書→就寝)
- 習慣化には3週間〜1か月かかる
- 日によって変えるより、パターン化した方が眠気が誘発されやすい
医師の監修コメント
臨床的にも、就寝前の習慣が乱れている方ほど入眠困難を訴えることが多いです。特に「寝る直前までスマホを触る」「強い光を浴びる」行動は、睡眠リズムを乱す大きな原因になります。逆に、毎日同じ流れでリラックスして就寝することで、不眠が改善するケースは少なくありません。
まとめ(チェックリスト)
- ☐ 寝る1時間前にスマホ・PCオフ
- ☐ 暖色照明に切り替え
- ☐ 90分前にぬるめの入浴
- ☐ 軽いストレッチ・深呼吸
- ☐ 寝室は静かで暗く、温度18〜22℃
- ☐ 毎晩同じ順番で行う
参考文献
- Chang AM, et al. Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS. 2015;112(4):1232-7.
- van den Heuvel CJ, et al. Effects of passive body heating on sleep latency and slow wave sleep. J Physiol. 1998;492(Pt 2):587-95.
- Espie CA, et al. Mindfulness-based therapy for insomnia. J Psychosom Res. 2007;62(6):597-606.
- Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of ambient temperature on sleep quality in humans. Sleep Med. 2012;13(3):307-12.
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