ブルーライトと睡眠の関係【医師が解説】

睡眠
Woman play game on notebook computer with purple and blue light

要約(先に結論)

  • ブルーライトはメラトニン分泌を抑制し、入眠を遅らせる。
  • 特に夜間のスマホ・PC使用は睡眠リズムを乱す大きな要因。
  • 就寝2時間前からの制御が理想。
  • 対策は「ブルーライトカット眼鏡」「ナイトモード」「間接照明」など。

ブルーライトとは何か

  • 可視光線の中で波長が380〜500nmと短い青色光。
  • 強いエネルギーを持ち、網膜や脳の概日リズムに直接影響する。
  • 昼間は覚醒度を高めるが、夜は睡眠を妨げる。

ブルーライトが睡眠に与える影響

  • メラトニン抑制効果:夜にブルーライトを浴びると、眠気を誘発するホルモン「メラトニン」の分泌が減少 (Chang et al., 2015)。
  • 入眠遅延:電子書籍リーダーやスマホ使用で平均入眠が30〜60分遅れる報告。
  • 睡眠の質低下:深い睡眠(徐波睡眠)が減少し、翌朝の眠気が強くなる。

メラトニンとコルチゾールの概日リズム(48時間表示)

Source: Skubic C, Zevnik U, Nahtigal K, et al. Biomolecules. 2025;15:1006. Figure 1. Licensed under CC BY 4.0

どのくらいの時間が影響するのか

  • 就寝前2時間以内のブルーライト曝露で顕著な影響。
  • 30分程度でも効果ありだが、長時間スクリーン使用は特に悪影響。
  • 子供や思春期の若者は影響が強い(睡眠ホルモンの感受性が高いため)。

具体的な対策法

1. デバイスの設定

  • スマホやPCのナイトモード・ブルーライトカットモード就寝2時間前にオン。
  • 画面輝度を落とす。

2. ブルーライトカット眼鏡

  • レンズに特殊フィルターでブルーライトを30〜50%カット。
  • 就寝前の作業が避けられない場合に有効。
  • ただし「完全カット」は昼間の覚醒維持を妨げるため注意。

3. 照明の工夫

  • 寝室は**暖色系(2700K以下)**の照明に。
  • 就寝前は間接照明に切り替える。

4. 就寝前ルーティンに組み込む

  • ストレッチ・読書・瞑想などスクリーンを使わない習慣を。
  • 紙の本やアナログなリラックス活動がベスト。

医師の監修コメント

臨床でも「夜のスマホやPC使用が不眠を悪化させている」ケースは多く見られます。特に若い方は、就寝直前までSNSや動画を見てしまい、結果として入眠が遅れ、昼間の眠気につながることが多いです。**「就寝2時間前は暖色照明+スクリーンオフ」**を心がけるだけでも改善が期待できます。


まとめ(実践チェックリスト)

  • ☐ 就寝2時間前にスマホ・PCをやめる
  • ☐ ナイトモードを活用
  • ☐ 暖色照明に切り替える
  • ☐ ブルーライトカット眼鏡を使う(必要な場合)
  • ☐ 紙の本やリラックス行動で眠りに備える

参考文献

  • Chang AM, et al. Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS. 2015.
  • Cajochen C, et al. Evening exposure to a light-emitting diodes (LED)-backlit computer screen affects circadian physiology and cognitive performance. J Appl Physiol. 2011.
  • Harada T, et al. Effect of evening light exposure on sleep and circadian rhythm in Japanese students. Chronobiol Int. 2016.
  • Gringras P, et al. Blue-enriched light, melatonin suppression, and sleep. J Clin Endocrinol Metab. 2015.

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